C#中級

中級 C#で学ぶドメイン駆動設計｜ケーススタディ編

 

導入

ドメイン駆動設計（DDD）は、ビジネスの複雑性をソフトウェアに反映させるための強力な手法です。特に、中級エンジニアにとって、実際のプロジェクトでどのようにこの概念を適用するかは大きな課題となります。本記事では、架空のプロジェクトを通じて、C#を用いたドメイン駆動設計の実践的なアプローチを探ります。

教科書レベルの解説（ドメイン駆動設計）

重要な概念の整理

ドメイン駆動設計は、ビジネスドメインの理解を基にしたソフトウェア設計のアプローチです。以下のような重要な概念があります：

  • ユビキタス言語：開発者とビジネス関係者が共通に理解する言語を使用すること。
  • エンティティ：識別可能なオブジェクトで、ライフサイクルを持つ。
  • バリューオブジェクト：属性によって定義され、識別子を持たないオブジェクト。
  • アグリゲート：関連するエンティティとバリューオブジェクトの集まり。

コード例（C#）


public class Order
{
    public int OrderId { get; private set; }
    public List Items { get; private set; }
    public decimal TotalAmount => Items.Sum(item => item.Price * item.Quantity);

    public Order(int orderId)
    {
        OrderId = orderId;
        Items = new List();
    }

    public void AddItem(string productName, decimal price, int quantity)
    {
        var item = new OrderItem(productName, price, quantity);
        Items.Add(item);
    }
}

public class OrderItem
{
    public string ProductName { get; private set; }
    public decimal Price { get; private set; }
    public int Quantity { get; private set; }

    public OrderItem(string productName, decimal price, int quantity)
    {
        ProductName = productName;
        Price = price;
        Quantity = quantity;
    }
}

コードの行ごとの解説

  1. Orderクラス：注文を表すエンティティで、注文IDとアイテムリストを持つ。
  2. TotalAmountプロパティ：全アイテムの合計金額を計算する。
  3. AddItemメソッド：新しいアイテムを注文に追加するためのメソッド。
  4. OrderItemクラス：注文の各アイテムを表すバリューオブジェクト。
  5. コンストラクタ：アイテムのプロパティを初期化する。

ケーススタディ編

あるEコマースプロジェクトにおいて、注文管理システムを構築することになりました。システムの要件として、ユーザーが複数のアイテムを一度に購入できるようにすることが求められました。このシナリオでは、ドメイン駆動設計を用いて、注文とそのアイテムをどのようにモデル化するかが鍵となります。

まず、注文をエンティティとして定義し、個々のアイテムはバリューオブジェクトとして扱います。このアプローチにより、注文のライフサイクルを管理しやすくなります。しかし、ここで注意が必要なのは、アイテムの追加や削除の際に、ビジネスルールに基づいた検証を行うことです。たとえば、在庫が不足している商品を追加しようとした場合、エラーハンドリングを適切に行わなければなりません。

まとめ

  • ドメイン駆動設計は、ビジネスの複雑性をソフトウェアに反映させるための重要な手法である。
  • エンティティとバリューオブジェクトの適切なモデル化は、システムの保守性を高める。
  • ビジネスルールを考慮した実装が、実際の業務において非常に重要である。
RELATED POST