JavaScript上級

上級 JavaScriptで学ぶドメイン駆動設計|ケーススタディ編

導入

ドメイン駆動設計(DDD)は、ソフトウェア開発においてビジネスの複雑さを効果的に管理するためのアプローチです。特に大規模なシステムでは、ドメインモデルが明確であることが成功の鍵を握ります。本記事では、架空のプロジェクトを通じて、JavaScriptを用いたドメイン駆動設計の実践的な適用を考察します。

教科書レベルの解説(ドメイン駆動設計)

重要な概念の整理

ドメイン駆動設計では、以下の概念が特に重要です。

  • ドメインモデル: ビジネスのルールやプロセスを反映したオブジェクトの集まり。
  • エンティティ: 一意に識別されるオブジェクト。状態を持ち、時間と共に変化する。
  • 値オブジェクト: 属性の集合で、一意の識別子を持たないオブジェクト。
  • 集約: エンティティとその関連する値オブジェクトのグループ。

コード例(JavaScript)


// ドメインモデルの定義
class Product {
    constructor(id, name, price) {
        this.id = id;
        this.name = name;
        this.price = price;
    }

    applyDiscount(discountPercentage) {
        this.price -= this.price * (discountPercentage / 100);
    }
}

class Order {
    constructor() {
        this.products = [];
    }

    addProduct(product) {
        this.products.push(product);
    }

    calculateTotal() {
        return this.products.reduce((total, product) => total + product.price, 0);
    }
}

// 使用例
const product1 = new Product(1, "Laptop", 1000);
const product2 = new Product(2, "Mouse", 50);
product1.applyDiscount(10); // 10%の割引適用

const order = new Order();
order.addProduct(product1);
order.addProduct(product2);
console.log(order.calculateTotal()); // 合計金額を表示

コードの行ごとの解説

  1. クラス Product: 商品の情報を管理するエンティティ。ID、名前、価格を持つ。
  2. applyDiscount メソッド: 割引率を引数に取り、価格を更新する。
  3. クラス Order: 注文を管理する集約。複数の Product を保持する。
  4. addProduct メソッド: 注文に商品を追加する。
  5. calculateTotal メソッド: 注文内の全商品の合計金額を計算する。
  6. 使用例: 商品を作成し、割引を適用した後、注文を作成して合計金額を表示。

ケーススタディ編

架空のオンラインストアを想定します。顧客が商品を選び、カートに追加し、購入手続きを行います。このシステムでは、ドメイン駆動設計を用いて、ビジネスロジックを明確に分離し、保守性を高めます。

例えば、プロジェクト初期段階で「割引」機能を実装する際、単純に価格を変更するだけではなく、割引の条件(例えば、特定の期間や顧客の種類による割引)を考慮する必要があります。この場合、割引戦略を値オブジェクトとして実装し、Product クラスに適用することで、柔軟な設計が可能になります。

このように、ドメイン駆動設計を適用することで、ビジネス要件の変化に迅速に対応できるシステムを構築できます。特に、エンティティと値オブジェクトの使い分けや、集約の設計が成功の鍵となります。

まとめ

  • ドメイン駆動設計は、ビジネスの複雑さを管理するための強力な手法。
  • エンティティと値オブジェクトを適切に設計することで、柔軟性と保守性を向上させることができる。
  • 具体的なビジネス要件に基づいた設計を心掛けることで、実務に役立つシステムを構築可能。