導入
CQRS(Command Query Responsibility Segregation)とイベントソーシングは、複雑なビジネスロジックを効率的に管理するための強力なアプローチです。特に、データの整合性とスケーラビリティを重視するアプリケーションにおいて、その効果を最大限に発揮します。本記事では、具体的なシナリオを通じて、CQRSとイベントソーシングを実務に役立てる方法を探ります。
教科書レベルの解説(アーキテクチャ / 実務設計)
重要な概念の整理
CQRSは、コマンド(データの変更)とクエリ(データの取得)を分離する設計パターンです。この分離により、システムの可読性と保守性が向上します。イベントソーシングは、状態をイベントのストリームとして保存する手法で、過去の状態を再現することが容易になります。この2つを組み合わせることで、ビジネスロジックの変化に柔軟に対応できるアーキテクチャが構築できます。
具体的なシナリオとして、ECサイトの注文処理を考えます。注文を受け付ける際に、CQRSを用いてコマンドとクエリを分離し、イベントソーシングで注文の状態を管理します。この場合、注文が完了した際に「注文作成」イベントを発生させ、そのイベントを記録します。これにより、後から注文履歴を追跡したり、状態を復元したりすることが可能になります。
コード例(Python)
class Order:
def __init__(self, order_id, items):
self.order_id = order_id
self.items = items
self.status = 'Pending'
self.events = []
def create_order(self):
self.events.append(f'OrderCreated: {self.order_id}')
self.status = 'Created'
def complete_order(self):
if self.status == 'Created':
self.events.append(f'OrderCompleted: {self.order_id}')
self.status = 'Completed'
def get_events(self):
return self.events
コードの行ごとの解説
- class Order: 注文を表すクラスを定義します。
- def __init__(self, order_id, items): コンストラクタで注文IDとアイテムを初期化します。
- self.events = [] イベントを記録するためのリストを初期化します。
- def create_order(self): 注文を作成するメソッドです。
- self.events.append(f’OrderCreated: {self.order_id}’) 注文作成イベントを記録します。
- self.status = ‘Created’ 注文の状態を更新します。
- def complete_order(self): 注文を完了させるメソッドです。
- if self.status == ‘Created’: 注文が作成されているか確認します。
- self.events.append(f’OrderCompleted: {self.order_id}’) 注文完了イベントを記録します。
- self.status = ‘Completed’ 注文の状態を完了に更新します。
- def get_events(self): 記録されたイベントを取得するメソッドです。
練習問題編
以下にCQRSとイベントソーシングに関する練習問題を用意しました。各問題に対する模範解答も記載しています。
- 問題1: CQRSのメリットを3つ挙げてください。
- 模範解答:
- 可読性の向上
- スケーラビリティの向上
- 異なるデータストレージの使用が可能
- 問題2: イベントソーシングを使用する際の注意点を2つ挙げてください。
- 模範解答:
- イベントのバージョン管理が必要
- イベントの順序が重要であること
- 問題3: 上記のコードにおいて、注文がすでに完了している場合に再度完了処理を行った場合、どうなるか説明してください。
- 模範解答: 注文がすでに「Completed」状態の場合、complete_orderメソッドは何も実行されず、イベントは追加されません。
まとめ
- CQRSとイベントソーシングは、ビジネスロジックの管理において強力な手法です。
- 具体的なシナリオを通じて、実務における応用方法を理解できました。
- 練習問題を通じて、知識を確認し、理解を深めることができます。