JavaScript上級

上級 JavaScriptで学ぶドメイン駆動設計｜解説編

 

導入

ドメイン駆動設計（DDD）は、ソフトウェア開発においてビジネスの複雑さを管理するための強力なアプローチです。特に、ビジネスロジックが複雑なシステムにおいて、その効果は顕著です。本記事では、実際の業務シーンで遭遇するケーススタディを通じて、JavaScriptを用いたドメイン駆動設計の実践的な側面を探ります。

教科書レベルの解説（ドメイン駆動設計）

重要な概念の整理

ドメイン駆動設計は、ビジネスドメインを中心に据えた設計手法です。ドメインモデル、ユビキタス言語、バウンデッドコンテキストなどの概念が重要です。これらは、開発者とビジネス関係者が共通の理解を持つための基盤を提供します。特に、バウンデッドコンテキストは、異なるドメインの境界を明確にし、それぞれのドメインに特化したモデルを構築するために不可欠です。

コード例（JavaScript）


// ドメインモデルの例：注文管理
class Order {
    constructor(customer, items) {
        this.customer = customer;
        this.items = items;
        this.status = 'pending';
    }

    addItem(item) {
        this.items.push(item);
    }

    completeOrder() {
        this.status = 'completed';
    }
}

class Customer {
    constructor(name) {
        this.name = name;
    }
}

// 使用例
const customer = new Customer('山田太郎');
const order = new Order(customer, []);
order.addItem('商品A');
order.completeOrder();
console.log(order);

コードの行ごとの解説

  1. class Order { – 注文を表現するドメインモデルの定義。
  2. constructor(customer, items) { – コンストラクタで顧客とアイテムの配列を受け取る。
  3. this.status = ‘pending’; – 注文の初期状態を設定。
  4. addItem(item) { – アイテムを追加するメソッド。
  5. completeOrder() { – 注文を完了状態にするメソッド。
  6. const customer = new Customer(‘山田太郎’); – 顧客のインスタンスを生成。
  7. const order = new Order(customer, []); – 新しい注文を作成。
  8. order.addItem(‘商品A’); – 注文にアイテムを追加。
  9. order.completeOrder(); – 注文を完了。
  10. console.log(order); – 最終的な注文オブジェクトを出力。

解説編

このコード例では、シンプルな注文管理システムを通じて、ドメインモデルの構築方法を示しました。特に注目すべきは、ドメインモデルがビジネスロジックをどのようにカプセル化しているかです。例えば、注文の状態管理は、ドメインモデル内で行われており、外部からの不正な操作を防ぎます。また、顧客情報を別のクラスとして分離することで、将来的な拡張性も考慮されています。この設計においては、バウンデッドコンテキストの概念が活かされており、異なるドメインが明確に分離されています。

まとめ

  • ドメイン駆動設計は、ビジネスロジックの複雑さを管理するための有効な手法である。
  • バウンデッドコンテキストを利用することで、異なるドメインの境界を明確にし、モデルの整合性を保つことができる。
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