導入
ドメイン駆動設計(DDD)は、複雑なビジネスロジックを効果的に管理するためのアプローチです。特に、ソフトウェア開発における要件が変化しやすい現代において、DDDの考え方は非常に有用です。本記事では、架空のプロジェクトを通じて、実際の業務におけるドメイン駆動設計の適用方法を探ります。
教科書レベルの解説(ドメイン駆動設計)
重要な概念の整理
ドメイン駆動設計は、ビジネスドメインを中心に据えた設計手法です。以下の要素が重要です。
- エンティティ:一意の識別子を持ち、ライフサイクルを持つオブジェクト。
- 値オブジェクト:属性の集合で、同一性を持たず不変であるオブジェクト。
- アグリゲート:関連するエンティティと値オブジェクトの集まりで、一貫性を保つための境界を定義。
- リポジトリ:エンティティやアグリゲートを永続化するためのインターフェース。
コード例(Java)
import java.util.ArrayList;
import java.util.List;
// 値オブジェクト
class Money {
private final double amount;
private final String currency;
public Money(double amount, String currency) {
this.amount = amount;
this.currency = currency;
}
// ゲッター
public double getAmount() {
return amount;
}
public String getCurrency() {
return currency;
}
}
// エンティティ
class Order {
private final String orderId;
private List items;
public Order(String orderId) {
this.orderId = orderId;
this.items = new ArrayList<>();
}
public void addItem(Money money) {
items.add(money);
}
public String getOrderId() {
return orderId;
}
public List getItems() {
return items;
}
}
// リポジトリ
interface OrderRepository {
void save(Order order);
Order findById(String orderId);
}
コードの行ごとの解説
- Moneyクラスは、通貨と金額を表す値オブジェクトです。金額は不変であり、同一性を持ちません。
- Orderクラスは、エンティティとしての役割を持ち、注文の一意の識別子(orderId)を持ちます。複数のMoneyオブジェクトを含むことができます。
- OrderRepositoryインターフェースは、注文を保存および取得するためのメソッドを定義しています。これにより、データアクセスの抽象化が実現されます。
ケーススタディ編
あるEコマースプロジェクトでは、注文管理の機能を実装する必要がありました。ドメイン駆動設計を適用することで、ビジネスロジックを明確にし、変更に強いシステムを構築しました。
プロジェクトの初期段階で、注文の状態管理や金額計算の複雑さに直面しました。これにより、エンティティと値オブジェクトの役割を再評価する必要がありました。具体的には、金額計算のロジックをOrderクラスに持たせず、別のサービスクラスに委譲しました。
この設計により、金額計算の変更が必要な際に、Orderクラスを直接変更する必要がなくなり、テストも容易になりました。また、将来的に異なる通貨のサポートを追加する際も、Moneyクラスを拡張するだけで済むため、柔軟性が向上しました。
まとめ
- ドメイン駆動設計は、ビジネスロジックを効果的に管理するための強力な手法です。
- エンティティと値オブジェクトの役割を明確にすることで、システムの柔軟性が向上します。
- リポジトリパターンを使用することで、データアクセスの抽象化が実現され、テストやメンテナンスが容易になります。