TypeScript中級

中級 TypeScriptで学ぶテスト駆動開発｜解説編

 

導入

テスト駆動開発（TDD）は、ソフトウェア開発のプロセスにおいて、コードを書く前にテストを作成するアプローチです。この方法論は、バグの早期発見やコードの品質向上に寄与します。特に中級エンジニアにとって、TDDは実務での効率化を図るための強力な手段となります。ここでは、TypeScriptを用いて、現場でよく遭遇する具体的なシチュエーションを通じてTDDの実践方法を解説します。

教科書レベルの解説（テスト駆動開発）

重要な概念の整理

TDDの基本的なサイクルは「Red-Green-Refactor」の3つのステップから成り立っています。まず、テストを作成し、失敗することを確認（Red）。次に、テストを通過させるための最小限のコードを実装（Green）。最後に、コードをリファクタリングして可読性や保守性を高めます。このサイクルを繰り返すことで、機能を追加するごとにコードの整合性が保たれます。

コード例（TypeScript）


class Calculator {
    add(a: number, b: number): number {
        return a + b;
    }
}

describe('Calculator', () => {
    let calculator: Calculator;

    beforeEach(() => {
        calculator = new Calculator();
    });

    it('should add two numbers', () => {
        const result = calculator.add(2, 3);
        expect(result).toBe(5);
    });
});

コードの行ごとの解説

  1. class Calculator {:
  2. Calculatorクラスを定義します。
  3. add(a: number, b: number): number {:
  4. 2つの数値を受け取り、その合計を返すメソッドを定義します。
  5. return a + b;:
  6. 引数として受け取った2つの数値を加算して返します。
  7. describe(‘Calculator’, () => {:
  8. テストスイートを定義します。
  9. beforeEach(() => {:
  10. テストの前にCalculatorのインスタンスを作成します。
  11. it(‘should add two numbers’, () => {:
  12. 特定のテストケースを定義します。
  13. const result = calculator.add(2, 3);:
  14. addメソッドを呼び出し、その結果をresultに格納します。
  15. expect(result).toBe(5);:
  16. resultが期待通りの値であることを確認します。

解説編

この例では、Calculatorクラスに加算機能を持たせ、その動作をテストしています。TDDの利点は、機能を追加するたびにテストが自動的に実行されるため、コードの変更による影響を常に把握できる点です。しかし、注意すべき点として、テストのカバレッジが不十分な場合、実際のバグを見逃す可能性があります。特に、複雑なビジネスロジックを含む場合は、十分なテストケースを設計することが求められます。

まとめ

  • TDDは「Red-Green-Refactor」のサイクルで成り立っています。
  • テストを先に書くことで、後の開発がスムーズになります。
  • 十分なテストカバレッジを確保することで、品質の高いソフトウェアを実現できます。
RELATED POST