導入
ドメイン駆動設計(DDD)は、ソフトウェア開発においてビジネスの本質を反映させるための強力なアプローチです。しかし、実際のプロジェクトでは、設計の意図を誤解したり、実装が不適切な場合が多々あります。特に、アンチパターンに陥ることがよく見受けられます。本記事では、具体的なケーススタディを通じて、ドメイン駆動設計における一般的なアンチパターンを分析し、その改善策を考察します。
教科書レベルの解説(ドメイン駆動設計)
重要な概念の整理
ドメイン駆動設計は、ビジネスドメインを中心に据え、その複雑さを管理するための設計方法論です。重要な概念としては、エンティティ、値オブジェクト、集約、リポジトリなどがあり、これらは全てビジネスのルールやプロセスを反映するために用いられます。特に、エンティティは一意の識別子を持ち、ライフサイクルを通じて状態が変化するオブジェクトです。一方、値オブジェクトは、その属性によってのみ識別され、状態を持たないことが特徴です。
コード例(Python)
class Order:
def __init__(self, order_id, customer, items):
self.order_id = order_id
self.customer = customer
self.items = items
def total_price(self):
return sum(item.price for item in self.items)
class Item:
def __init__(self, name, price):
self.name = name
self.price = price
コードの行ごとの解説
- Orderクラス: 注文を表すエンティティ。注文ID、顧客、アイテムのリストを持つ。
- total_priceメソッド: 注文に含まれるアイテムの合計価格を計算する。
- Itemクラス: 商品を表す値オブジェクト。名前と価格を持つ。
アンチパターン編
上記のコードには一見して問題はなさそうですが、実際にはいくつかのアンチパターンが潜んでいます。まず、ドメインロジックの分散が挙げられます。total_priceメソッドがOrderクラス内にあるため、アイテムの価格計算に関するロジックが分散しています。これにより、将来的にアイテムの価格計算が変更された場合、Orderクラスの修正が必要となり、メンテナンスが煩雑になります。
次に、エンティティの肥大化も問題です。Orderクラスがアイテムのリストを持つことで、責任が増えすぎています。理想的には、価格計算のロジックは別のサービスクラスに移動させるべきです。これにより、Orderクラスは純粋に注文の管理に専念でき、単一責任の原則に従うことができます。
まとめ
- ドメイン駆動設計では、エンティティと値オブジェクトの役割を明確に分けることが重要。
- ロジックを適切に分散させることで、メンテナンス性を向上させる。
- 責任が過剰に集中しないよう、クラス設計を見直すことが必要。