導入
本記事では、CQRS(Command Query Responsibility Segregation)とイベントソーシングを活用したアーキテクチャの具体的な適用例を探ります。ある架空のプロジェクトを通じて、これらの技術が実際の業務にどのように役立つのか、またその実装における落とし穴や改善ポイントについて考察します。
教科書レベルの解説(アーキテクチャ / 実務設計)
重要な概念の整理
CQRSは、コマンドとクエリを分離するアーキテクチャスタイルであり、システムのスケーラビリティやメンテナンス性を向上させます。イベントソーシングは、状態の変化をイベントとして記録し、その履歴を基にシステムの現在の状態を再構築する手法です。この二つを組み合わせることで、柔軟なデータ管理が可能となります。
コード例(Python)
class Event:
def __init__(self, event_type, data):
self.event_type = event_type
self.data = data
class EventStore:
def __init__(self):
self.events = []
def save_event(self, event):
self.events.append(event)
def get_events(self):
return self.events
class User:
def __init__(self, username):
self.username = username
self.events = []
def change_username(self, new_username):
event = Event("UsernameChanged", {"old": self.username, "new": new_username})
self.events.append(event)
self.username = new_username
event_store = EventStore()
user = User("old_username")
user.change_username("new_username")
for event in user.events:
event_store.save_event(event)
for event in event_store.get_events():
print(f'Event: {event.event_type}, Data: {event.data}')
コードの行ごとの解説
- Eventクラスは、イベントの種類とデータを保持します。
- EventStoreクラスは、イベントを保存し、取得するための機能を提供します。
- Userクラスは、ユーザーの情報を管理し、ユーザー名を変更するメソッドを持っています。
- ユーザー名が変更されると、UsernameChangedイベントが生成され、ユーザーのイベントリストに追加されます。
- イベントはEventStoreに保存され、すべてのイベントが出力されます。
ケーススタディ編
架空のプロジェクト「TaskManager」を考えます。このプロジェクトでは、タスクの作成、更新、削除が行われるシステムを構築します。CQRSの適用により、タスクの状態を管理するコマンドと、タスクのリストを取得するクエリを分離します。
タスクの作成時、イベントソーシングを用いて、タスク作成イベントを記録します。これにより、タスクの履歴を追跡できるようになり、過去の状態に戻すことも可能です。例えば、タスクが誤って削除された場合でも、イベントストアから過去のイベントを再生することで、タスクを復元できます。
ただし、注意が必要な点として、イベントのスキーマが変更される場合があります。これに対処するために、バージョニングを導入することが望ましいです。これにより、過去のイベントが新しいシステムに適合するようになります。
まとめ
- CQRSとイベントソーシングを組み合わせることで、柔軟なデータ管理が可能です。
- イベントストアを利用することで、過去の状態を容易に再構築できる利点があります。
- スキーマの変更に対する対策を講じることで、システムの堅牢性が向上します。