JavaScript上級

上級 JavaScriptで学ぶオブジェクト指向設計｜ケーススタディ編

 

導入

本記事では、オブジェクト指向設計の原則を実際のプロジェクトに適用するケーススタディを通じて、上級者向けのJavaScriptプログラミング技術を深めます。特に、現場で直面する具体的なシナリオを設定し、その中でオブジェクト指向の利点や落とし穴を探ります。

教科書レベルの解説（オブジェクト指向設計）

重要な概念の整理

オブジェクト指向設計は、ソフトウェア開発において再利用性や保守性を高めるための手法です。主要な概念には、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズム、カプセル化があります。これらの概念を理解し、適切に活用することで、複雑なシステムをシンプルに保つことができます。

コード例（JavaScript）


class Vehicle {
    constructor(brand, model) {
        this.brand = brand;
        this.model = model;
    }

    displayInfo() {
        return `${this.brand} ${this.model}`;
    }
}

class Car extends Vehicle {
    constructor(brand, model, doors) {
        super(brand, model);
        this.doors = doors;
    }

    displayInfo() {
        return `${super.displayInfo()} with ${this.doors} doors`;
    }
}

const myCar = new Car('Toyota', 'Corolla', 4);
console.log(myCar.displayInfo());

コードの行ごとの解説

  1. class Vehicle { ... }：基本クラスVehicleを定義。自動車のブランドとモデルを属性として持つ。
  2. constructor(brand, model) { ... }：コンストラクタでブランドとモデルを初期化。
  3. displayInfo() { ... }：車両情報を表示するメソッド。
  4. class Car extends Vehicle { ... }：Vehicleを継承したCarクラスを定義。ドア数を追加の属性として持つ。
  5. super(brand, model);：親クラスのコンストラクタを呼び出し、ブランドとモデルを初期化。
  6. console.log(myCar.displayInfo());：Carオブジェクトの情報を表示。

ケーススタディ編

ある企業では、さまざまな種類の車両を管理するシステムを開発しています。最初は、すべての車両を単一のクラスで管理していましたが、異なるタイプの車両（トラックやバイクなど）を追加する必要が生じました。そこで、オブジェクト指向設計の原則を適用し、Vehicleクラスを作成し、Carクラスをそのサブクラスとして定義しました。このアプローチにより、各車両の特性を持たせることが可能になり、将来的な拡張にも対応しやすくなりました。

しかし、この設計には落とし穴も存在します。例えば、各車両クラスで独自のメソッドを実装する際、共通のロジックを持たせることを忘れると、コードの重複が生じ、保守性が低下します。したがって、共通の機能を親クラスに移動させることで、重複を避けることが重要です。

まとめ

  • オブジェクト指向設計を利用することで、システムの拡張性と保守性が向上します。
  • 共通の機能は親クラスに集約し、コードの重複を避けることが重要です。
  • 現場での具体的なシナリオに基づいた設計が、実際の業務に役立つ技術を提供します。
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